きらきら星の本当の曲名を知っていますか?
小学校低学年の時、誰もが音楽の授業で童謡『きらきら星』を歌ったと思う。そしてモーツァルトがこのテーマを用いて、ピアノのための変奏曲を作曲しているのは割と有名だろう。変奏曲の中でも傑作の1曲で、きーらーきーらーひーかーるー、が12に形を変え、奏される。
トルコの鬼才ファジル・サイのポップなモーツァルト
さて、実はきらきら星というのは通称、いや替え歌であることをご存じだろうか?正確にはというか原題は"Ah! Vous dirais-je, Maman"(ああ、お母さん、あなたに申しましょう)という曲なのだ。
元々フランスのシャンソンで、娘が母親に恋をしていることを打ち明ける内容となっている。それをイギリスの詩人が"Twinkle, twinkle, little star"と、替え歌にしたら、そっちが世界的大ヒット!!音楽の授業でも歌われるメジャーな曲になってしまった。日本で原題を知っている人なんてほぼいないだろう。リサイタルなどでも『きらきら星変奏曲』と記されるくらいだし、ピアノを習っていても知らないだろう(笑)。
そして、この有名過ぎる旋律は現代作曲家のイマジネーションも掻き立てている。スペインのハビエル・モンサルバーチェが書いた『イヴェットのためのソナチネ』は、第3楽章にきらきら星が登場する。
モンサルバーチェは1912年生まれ、2002年没と今年生誕110年で没後20年。最近まで生きていただけあって、ポップス的な聴きやすさとコンテンポラリーな不協和音が同居するモダンな曲調だ。イヴェットとは自分の娘のことで、彼女が10歳の時に書かれた。娘の学校できらきら星が人気だから引用したらしいが、不協和にリズミカルにきらきら星が奏される第3楽章はちょっとジャズな感じもしてオシャレ。技巧は比較的簡単だが、10歳でこの和声を受け入れられるのかは分からない。どちらかというと、大人が弾いてカッコいいし、楽しめる曲と思う。
演奏はスペインの至宝、アリシア・デ・ラローチャで
なんだかお母さんというより娘がテーマな感じになってしまったが、もうすぐ母の日だ。日頃の感謝を、そして恋も打ち明けよう。ギフトにハンドクリームやバスソルトで日々の疲れをいたわってあげたい。子供からの言葉と思いやりは、瞬く星のように何にも増して心に輝きをもたらすはず。
by writer Mitsuhiro Ebihara